本書は第二次大戦で日本機と対戦した米陸軍戦闘機を其々開発の経緯、構造、性能、運動性を述べ、それらから客観的な評価を加えた本です。
俎板上に載せられたのはP-38、P-39、P-40、P-47、P-51、P-61(この中でボストンを夜間戦闘機化したP-70にも言及しています)で、特に日本の航空関係者から低い評価しか与えられていなかったP-39とP-40に対して見直しが行われたのは評価できます。
冷却性能が不足気味のP-39にとっては日本軍がタフな相手であったことは変わり無いようですが(その替り欧州東部戦線では高い評価を受けています)、P-40もやや馬力不足ではあったものの(緊急出力の使用が可能になったK型以降はかなり改善されたそうです)連合軍パイロットには日本機と戦うには最適という評価を受けています。
逆にP-38は高性能ではあるが、製造が難しく整備にも手間がかかるなど、兵器というものを単機の性能だけで評価していないのも好感が持てる処です。また、P-38が零戦より高性能だと報告したパイロットが叱責され、彼の報告は無視されたという点で問題を秘匿する方向に動き、対策を怠って傷口(損害)を広げるのは最近の某光学機器にも見るように日本人の悪い特性かと考えさせられてしまいました。
このほか、P-26からP-36までの概説、制式記号を与えられたものの米軍で戦闘に使用されることの無かった戦闘機(P-63、P-64等)、試作機戦闘機概説、米軍で使用されたスピットファイア、真珠湾攻撃時の陸軍航空隊による迎撃戦などの記事も収録されています。
一時期、本書の様に良い本を出版していた学習研究社が最近は過去の出版物の再編集物でお茶を濁しているのは残念で、本書のような本が出版される日が来ることを切に願います。