戦後既に60年となりましたが、この間我が国には米軍が一貫して駐留を続けており、良かれ悪しかれ、東アジア全域に強いニラミを効かせてきました。その在日米軍が、今まさに歴史的な大変革に直面しているようです。
本書は、我が国随一の軍事評論家である江畑氏が、この米軍再編という一大プロジェクトに正面から挑み、その意図や背景、歴史的な意義、さらには見通しなどを一般向けに解説するものです。特に気が付いたのは以下の点です。
(1) 米軍「トランスフォーメーション」の解説に比較的多くの紙幅を割いており、これが単なる装備の近代化や組織の合理化ではなく、戦略思考のパラダイム転換に伴う革命的プロジェクトであると主張しています。
(2) 世界各地域における米軍プレゼンスの現状を丁寧に解説することにより、米国世界戦略の中でそれぞれの地域がどのように位置付けられているか、いわば「米国の眼で見た世界像」が明らかにされています。
(3) 在日米軍の現状も丁寧に説明されており、沖縄・横須賀・佐世保などに所在する米軍の施設や部隊が、戦略的なコンテクストの中で如何なる機能や役割を担っているのか、真に明快に示されています。
(4) 末尾の部分では、あるべき再編の方向性に関する著者の個人的主張が簡潔に紹介されています。
世界中の地名が頻出するので通して読むのは結構ツライものがありますが、その分だけ資料的な価値も大きいと思います。米国寄りでも国粋的でも左翼的でもない、バランスの取れた淡々とした解説となっており、類書が多くはない中、いろんな意味で貴重な一書だと思います。