スタンフォード大学大学院で修士号を取った経験から、エリート教育の場としての米国大学院教育の特徴を紹介し、そこに集う各国の留学生やアメリカ人の国民性、米国エリートの思考や国家戦略との関係といった幅広いテーマについて考察している本。
著者によると、米国の大学・大学院教育は、授業のクオリティは必ずしも高いというわけではないという。特に数学のレベルは低い。しかし、平均以上のエリートを生み出すために、以下の3つの能力をバランスよく育むようにできている。
・多くの知識や経験があること(インプット)
・多くの知識や経験をうまく整理し、つなげる能力があること(プロセス)
・整理された知識、経験をうまく発信する能力があること(アウトプット)
このため、連日膨大な読書及びレポートの課題が出され、プレゼンテーションや少人数教室でのディスカッションが行われる。キャンパスは大きいがちょっと退屈な環境の中で、ハードワークに日々を過ごして時間管理やプロジェクトマネージメントのスキルまで身についてゆく。
中国や韓国からの留学生が大変な数にのぼっている実態も説明している。著者も、歴史問題で多少やりあったらしい。日本の過去についての説明として正確とは思われない文書が英語になっていて、さらにそれが証拠として講義で引用されることもあるようで、その経験から日本は重要資料の英訳を進める必要があるとしている。一方で、原爆投下の是非といったことでもタブー視せずにオープンに議論しようとする姿勢は高く評価している。
特に後半は米国の大学や大学院についての説明から離れて、国際政治、歴史との向かいあい方、愛国心、日本のエリート教育のあり方、非ネイティブとしての英語力を極める重要性、留学で得られるメリット、一流の「頭でっかち」になる方法といった内容について、著者が現地で経験したことや考えさせられたことから発展させた各種提言や自身の考えを披露している。