急激にその存在感を増している中国について、これを脅威として煽情的に描く書籍が世に溢れるなか、「日中関係は米中関係の従属関係にすぎない」という冷厳な事実を突き付ける、著者のリアリストとしての卓越した視点に圧倒された。中国の否定的側面を書き連ねて溜飲を下げるのではなく、中国が政治的には日本をはるかに凌ぐ超大国であるという(日本人として心情的には受け入れがたい)事実を冷静に受け止めたうえで、日本としてどのように行動していくべきかについて深く考えさせられる好著である。
なお、本書の内容自体とは直接関係ないが、本文中、かなりの誤字が見受けられた。これは著者のせいというよりかは、出版社の責任だとは思うが、あまりにひどかったので(内容は星5つ相当だが)星一つ減点して星4つとした。