現在入手できない音源を中心に再録されているベスト。しかも、(これは私の主観かもしれないが)入手できるかどうかは別にして、単純にあえて触ってほしくない曲・・・つまりはオリジナルで既に完成されている曲・・・例えば「赤猫」「花嫁」等は収録されていない。そんなファン心理のツボを押さえているところが、実にニクイ。
33曲一挙に聴いてまず感じたのが、「結成15年の重み」だ。男性陣の演奏テクニック、凶子さんの歌唱力共に、更に進化を続けている。
ただ、意見が分かれるかもしれないが、凶子さんの声が、昔の方が高くて繊細で、「廃墟の街」「路上」は、歌い方も今回の方が、やや丁寧さに欠ける印象。また、過密スケジュールの中でのレコーディングだったためか、比較的最近の楽曲「自殺の唄」「妄想天国」「道行き」の高音部分がやや苦しそう。「父親憎悪」の「必死に笑いを堪えながら・・・堪えきれるだろうか」のセリフも、以前の方が、感情を必死で抑えている様子がより伝わってきたように思う。
でも、総合したら、骨太だし、ライブの様なノリで臨場感に溢れている。サウンド処理を最低限に抑えたことで、実際にそばで聴いているような感覚が味わえる。個人的には「赤痣の娼婦」の哀愁漂う泥臭さが、最も気に入っている。
また、ライブのアンコールでお馴染みの「かわいい音頭」は、イントロがディープ・パープルの「ブラック・ナイト」を茶化していて笑えるし、歌詞も不謹慎でぶっ飛んでる!新曲の「籠の鳥」は犬神らしい切ないメロディーが胸を打つ。これをラストに持ってくるところが、またまたニクイ。終盤で「籠の中の鳥は、いついつ出やる」のフレーズが繰り返され、やがてアカペラに変わり、プツッと終る。この名状しがたい余韻が、聴き終えた満足感を呼び起こしてくれる。