確かに、ところどころ、納得する論点はある。例えば、
・「一攫千金」から遠ざかって暮らす
・使うカードはできるだけ1枚に集約する
・新車よりも中古車
・ジムに行くより道を歩く
・病気にならないことが何よりの節約、等
しかし多くは一般的なことであり、この本を読むまでもない。加えて、この本を読んでいて不快になるポイントが4つある。
まず第一は、何かと(日本を否定して)イギリスのやり方を礼讃すること。確かに外国に学ぶ事もあるだろうが、その違いの多くは過去の文化や慣習が原因(例えば、著者が毛嫌いする日本の旅館での部屋食とか、1泊2食付きのシステム)であり、一概に「イギリスのやり方の方が合理的」とバッサリ切り捨てるのには、かなり違和感がある。
第二に、「山奥のゴルフ場でも、軽く2万円はかかる(実際には数千円でプレーできるコースが大半)」とか、「大阪に行くなら、車より新幹線の方が安い(車の維持費は無視されているし、「時間」の観点が全く無視されている)」、「友人と賭け(麻雀等)をすると関係が悪くなる」等、論点が著者の間違った知識や思い込み、特殊な体験に基づいて書かれている事。
第三に、著者が大学の先生という、比較的マイペースで生きることのできる職業だからか、あまりに社交性を無視していること。例えば「飲み会」は居酒屋チェーンで何の目的も無しに不味いモノを食べさせられるから行かない、と苦言を呈しているが、これは著者が大きな組織で一体感を醸成するという必要性が皆無だからだと推察するし、居酒屋チェーンでの「飲み会」ではなくて、美味しいレストランでの「食事会」もあり、という発想にも欠如している。
第四に、ショッピングマイルでビジネスクラスでヨーロッパ往復できるほど消費をしていることとか、買った本を一生捨てなくていいような一軒家に住んでいるとか、休みは必ず2週間とるとか、既に一般の人よりあまりに高い生活レベルであることが垣間見える事。それで「節約」を語られてもなあ、という感じ。
結局は、自分で好きな事「だけ」をしながら、「みやげ」や「プレゼント」等の人を喜ばすことには興味がなく、俗世間のしがらみやとは離れて暮らす「裕福な仙人」が独断的に考える「節約の真似事」の本。参考になる事は少ないので、お勧めしない。巻末の「直視すること」という論点は正しいと思うので、残念。