2011年中に出た本なので、2012年のことは載っていません。2012年のレース展望すら載っていません。しかし、箱根駅伝の歴史を振り返るという点では、よくできた本だと思います。
また、冒頭の「瀬古・渡辺対談」にページ数を割きすぎだと思いました。二人ともかつてのスター選手ですが、同じ大学の出身ということもあって、箱根駅伝全体を俯瞰するような対談になっていません。
5区を走った歴代の選手特集でも、柏原選手をことさら大きく取り上げておきながら(これはまあ当然ですけど)、初めて「山の神」の称号をうけた今井選手が出ていなかったのが残念です。今井選手の実家は震災と津波で大きな被害を受けており、インタビューどころではなかったと推察します。
全体としてはページ数が少ない割に写真が多く、突っ込んだ記事も少ないので、箱根駅伝の歴史をきちんと振り返ることができていないように思います。ただし、写真の多さが良くないわけではありません。21世紀になって大学駅伝監督をなさっている方々や、ランニング関係の著書を多く出している金哲彦さんが現役で走っている場面の写真を見れるのは、とてもうれしいことです。また、箱根駅伝がテレビ中継されたのは比較的最近のことで、瀬古選手が走った時ですらラジオでしか中継されなかったという話ですから、その時代の方々の姿をまとめてみることができるのは貴重です。
あと、第1回〜87回までの全区間の出場選手と記録が載っているのがすばらしいです。近年の記録はインターネットで確認できますが、第1回(1920年)からすべての記録が載っている資料を、私は初めて見ました。この記録集にこそ、本書の存在意義があると思いました。