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小説は、徴兵忌避者として孤独で不安な逃亡の日々を送る青年の姿と、20年後の中年の日々とを交互に描いていきます。二つの時間のコントラストが鮮やかであればあるほど、過去の日々が鮮烈に浮かび上がるという手法です。
この手法は、うまくいっています。他にも、新聞記事の文体や、酔っぱらいのモノローグ(丸谷の独擅場!)など、文体の見本帳ともなっています。
ジョイスを読んだことのある人なら分かると思いますが、眠くなった人の独白は、平仮名が多くなっていき、句読点も少なくなっていきます。そのへんの文章効果をじっくり楽しんでください。
なお、この作品で最も見事なのは、最後の数頁です。倒叙法の記述により、哀切で叙情的な文章が、かつて例がないほど複雑な味わいを生む効果を出しています。
やはり、これは傑作です。
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