中学校・高等学校の部のレビューに続き、最後に投稿させていただくのは小学校の部。実は小学校の部に関しては幸運にもNHK
ホールで鑑賞する機会を得会場での感動を直接体験したので、思い入れもひとしおである。
今年の課題曲のテーマは「いのち」。小学校の部の課題曲は「いのちのいっちょうめ」、小学生には少々重いこのテーマを里乃塚
玲央氏のシンプルな詞、横山裕美子氏の親しみやすいメロディーにて、「身近な喜びの中に感じるいのち」を表現した楽しい曲だ。
小学生の部の自由曲選択は他の部門以上に「いのち」を意識したバラエティ溢れる選曲が各学校とも印象的だった。それは自然
の中に感じられる生命であったり、友人の死をテーマにした楽曲であったりと様々だが、どの学校も小学生らしい素直で透明感あ
る発声でこの重いテーマに等身大で向き合っている様子が窺え、実に感動的なステージであったことを述べておく。
高等学校の部のレビューにも書いたが、近年の参加校のレベルの上昇により全国大会出場校の実力はほぼ横並びと言って良く
、実際審査が例年より長引いたのも各学校の評価が拮抗していたからだろう。
その中で、見事2年連続金賞を受賞したのが目黒区立油面小。実は事前の知識なしに鑑賞したため、どこが優勝候補なのかも全
く分からない状態で演奏を聴いたが、拮抗していた学校群の中でもここの演奏はやはり頭一つ抜きん出ていた。日頃の早口言葉
練習の成果であろうか、一つ一つの言葉の発音が非常に明確、かつ発声にばらつきがなくブレス使いも丁寧。自由曲の「マホウツ
カイの日々」も変に技巧に走ることなく、小学生にとって等身大で取り組め好感が持てる素晴らしい楽曲かつ演奏であった。
他にも上述した通り、小学校の部の自由曲には素敵な演奏が多かった。自然の生命の素晴らしさを素直な発声で歌った愛媛大附
属小の「花」、日常が動き出す朝の風景を素敵なワルツで綴った郡山市立大島小の「朝のワルツ」、躍動感あるテンポで太陽のエ
ネルギーを賛美した広島市立南観音小の「お日さま」(個人的には最も感動した演奏の一つ)、最早演奏する子供達には実体験が
無い阪神淡路大震災で亡くなった少女を歌った神戸市立住吉小の「ゆめのふうせん屋さん」…子供達の素直な発声によるいのち
の真摯なメッセージはそれだけで深い感動を呼ぶものだった。
「いのち」について、子供達から深く考えさせられる名演奏の詰まった本作、是非お手にとっていただだければ幸いだ。