普段目にする感性や本書自体のタイトルに惹かれ、購入しました。
あらゆるジャンルの書籍50弱について、それらから想起する又吉さんご自身のエピソードが奔放に綴られています。
書籍ごとにその冒頭で表紙の写真、出版社や価格まで掲載されているので、
気になったらすぐに調べられる助けになっていると思います。
とはいえ「はじめに」にあるように書評の類ではなく、
大半は1冊につき3ページ程度割かれているうちの、最後の数行にその書籍に関する概説がある程度です。
ただし各々ページの最後に短い紹介文の欄がありますので、
物語の導入やあらすじは少しですが知ることができます。
ご自身の過去を振り返る逸話や、徒然なる読みもの、
ご自身の抱えてきたものを赤裸々に、時に淡々と、ひっそりと忍ばせるもの、
一方で一人称で綴った章もあり、
構成としてもバラエティーに富んでいるのではないでしょうか。
それにつられ、読んでいる方もクスリと笑ってしまったり、触発されて色々なことを思い出したり、ほろりと涙を誘われたりしました。
最後の中村文則氏との30ページ以上に及ぶ対談も、
お二人とも本当に楽しそうで、するする読んでしまいました。
特に昨年のキングオブコントで披露された、ピースのネタについての中村氏の考察は、
作家ならではだなあと面白かったです。
さて自由律俳人で有名な尾崎放哉の書籍から始まる本書ですが、
過去の又吉さんの、せきしろ氏との共作本と、ほぼ同じエピソードがいくつか載っていたりしますので、
人によっては少し残念に思うかもしれません。
個人的には「沓子(『沓子・妻隠』より)」と、「変身」、それに「キッチン」の章が特に好きです。
そして「リンダリンダラバーソウル」で、やっぱりほろりと。
また「異邦人」では平成ノブシコブシ(特に吉村さん)のエピソードが入っているのですが、
何とも微笑ましく、又吉さんにとってこの場合の「ダサい」は最大級の友愛のことばのように思えました。
肩の力を抜いて読めるし、ちょっと紹介された書籍も気になってしまう、
まさに又吉さんが目指した通りの一冊になっていると思います。