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第10巻 1999年~2008年 (加藤周一自選集)
 
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第10巻 1999年~2008年 (加藤周一自選集) [単行本]

加藤 周一 , 鷲巣 力
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

世紀の移り変わりを見つめた著者最後の10年間。信州の豊かな風景の中での交友を回想した随筆「高原好日」(抄)、若き日より一貫して憎んだ「不条理な死」に対する繰返しの発言など、人間に、未来に対して著者が最後まで抱き続けた希望が溢れる100本を収録。巻末に著作目録等を付す。

内容(「BOOK」データベースより)

加藤周一とは誰であり、何を伝えようとしたのか。時代を鋭く見つめた思想家は、何に支えられて、その思想を紡いだか。行間に溢れる自由な精神と抱き続けた希望を見る。

登録情報

  • 単行本: 650ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2010/9/18)
  • ISBN-10: 4000283502
  • ISBN-13: 978-4000283502
  • 発売日: 2010/9/18
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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加藤周一自選集(全10巻、岩波書店)が完結した。本巻の解説に曰く、「加藤には『理』と『情』とが背中合わせに結びついている。加藤の『大きな理の世界』は『深い情の世界』によって支えられていた」と。この言葉は自選集全体の意味を語っているように感じられる。

例えば、本巻に納められた「高原好日」には、実に広い分野の深い交流の記録が記されている。その一人ひとりへの的確な人物評には、加藤氏の深い友情に裏打ちされた正に「情の人」の片鱗を感じることができる。「情」に支えられた「理」。短いが濃密な文章の読後、加藤氏とともに感動を共有している自分を発見する。

人物評の例として、「鶴見俊輔小論」がある。明治以来の日本の学者(知識人)の知的二重生活について論じ、鶴見が上階と下階の二重生活から免れた稀有の人物であると評する。知的二重生活の典型的な例として、30年代、40年代の「転向」の問題を挙げ、この問題に対する「鶴見の分析は、対象から必要な距離を置くと同時に、(略)また対象の内部に広く深く浸透して鮮やかに冴えていた」と。これは加藤氏の人物評にそのまま当てはまる。鶴見に何故そのようなことが可能だったか。彼の個性がどのように成立したのか。加藤氏は鶴見のアメリカでのエピソードを引く。太平洋戦争が始まったとき、鶴見は連邦警察に逮捕監禁される。しかし、そこからハーヴァードの卒業論文を提出し、卒業を認められる。それは「彼の心のなかにあったアメリカのもっとも強くもっとも美しい部分にちがいない。『アメリカが彼を作った』。そこで上下階の二重生活の可能性は消えていたのである」と、加藤氏は鶴見の本質について喝破する。

人物評に典型的な形で見られる、加藤氏の「情」に裏打ちされた「理」による分析、その鮮やかな手際は、正に「芸」である。しかし同時に、ある人物を語って自ずと自分自身を語る、という側面も見逃せない。

加藤周一を作ったものは何か?そも何者であるか?

本自選集は、正にその目的を実現するために編まれた。「加藤周一を定義する」。読者は、本自選集全巻を読むことによって、それを知ることができるだろう。

因みに、巻末に「収録著作索引」と詳細な「著作目録」が付されていて、便利である。
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