本書は、1993年刊行の『Nightmares & Dreamscapes』(邦題『いかしたバンドのいる町で:ナイトメアズ&ドリームスケープス I』、『ヘッドタウン:ナイトメアズ&ドリームスケープス II』)以来、久々の短編集だが、ここにはキングの魅力がそのまま詰まっている。短編という形式は、ごくありふれた設定(ガレージセール)や昔懐かしい思い出(少年時代に魚釣りに遠出したこと)を素材に使って読者を戦慄させる、キングの手腕がまさに発揮される場だ。数あるキングの短編でも傑作に数えられる作品もいくつか収められていて、なかでもO・ヘンリー賞受賞作や「Riding the Bullet」は当初e-Bookとして発表され、既存の出版界に終焉を告げる事件だと一時騒がれた。例によって、どの作品も1ページ目から、現実からややはずれたキング独特の世界に読者を引きずりこみ、わずか50ページの長さで、ちまたにあふれる多くの作家たちの長編より、はるかにみごとに登場人物や雰囲気を構築している。
この短編集でキングの熱狂的ファンがいちばん注目するのは、「The Little Sisters of Eluria」(邦題「暗黒の塔-エルーリアの修道女」)だろう。際限なく広がり続ける「暗黒の塔」世界を舞台にするこの作品は、ファンタジー・アンソロジー『Legends』(邦題『伝説は永遠に(1)ファンタジィの殿堂』)で最初に発表された。「暗黒の塔」シリーズ第1巻より以前に設定を置き、いかにも怪しい看護婦たちの世話になる負傷したガンスリンガー、ギリアドのローランドが描かれる。ほかに、ある女性の悲劇の物語「That Feeling, You Can Only Say What It Is in French」、幽霊ツアーガイドブックのライターがついに本物の幽霊に出会う「1408」、ずっと夢見ていた仕事に就いた少年を悪夢が襲う表題作「Everything's Eventual」、血なまぐさいラストが驚愕を誘う離婚劇「L.T.'s Theory of Pets」などの作品が収録されている。
また、短編という芸術が失われつつある現状についてのまえがきや、各作品にこめた著者の意図、どこで着想を得たかなどの短い裏話も楽しめる。「親愛なる愛読者諸兄姉よ」とキングが直接読者に呼びかけるときの例にたがわず、その語調は、キャンプファイヤーを囲んでこれからお化け話を始めようとしているキャンプ指導員のそれだ。「みんなを怖がらせるのはちょっと気が引けるけど、手加減はしないよ」と。キングの燃やすたき火に集まったキャンパーのみなさんは、彼の警告に耳を貸したほうがいい。なにしろ、闇夜にまぎれてキングが人を驚かそうとするときは、窓に当たった小枝の音にぎょっとさせられる程度ではすまないからだ。(Benjamin Reese, Amazon.com) --このテキストは、 マスマーケット 版に関連付けられています。
Autopsy Room Four The last thing Howard Cottrell remembers is entering the woods to find his golf ball. He wakes up as he is being rolled into an autopsy room. Read by Oliver Platt.
In The Little Sisters of Eluria Roland is a gunslinger in a deserted town when he gets ambushed. Read by Boyd Gaines.
In Luckey Quarter Darlene is a single mom struggling to raise two kids on her income as a chambermaid in Reno. When Room 322 leaves her a quarter for a tip, Darlene lets that quarter take her for a ride. Read by Judith Ivey.
The Road Virus Heads North tracks an author who buys a creepy painting at a yard sale which was painted by a metal-head neighbor just before he committed suicide. Read by Jay O. Sanders.
Intense, eerie, and instantly compelling, these five stories announce the stunningly fertile imagination of perhaps the greatest storyteller of our time. --このテキストは、 CD 版に関連付けられています。
登録情報
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本書の目次には編集部註として、「収録作品数は13篇となっております。ご了承下さい。」とある一方、続編として「幸運の25セント硬貨」があるという話は書いていません。したがって、本書に13篇収録されていると誤解してしまいますが、実は2冊合わせての話です。
収録作品は、全部で6篇、「第四解剖室」、「黒いスーツの男」、「愛するものはぜんぶさらいとられる」、「ジャックハミルトンの死」、「死の部屋にて」、「エルーリアの修道女<暗黒の塔>外伝」です。
一方で、レビューは元々の1冊の本について書かれたものが多いので、混乱するかもしれません。「Luckey Quater」なる短編、ある女性の悲劇の物語「That Feeling, You Can Only Say What It Is in French」、幽霊ツアーガイドブックのライターがついに本物の幽霊に出会う「1408」、ずっと夢見ていた仕事に就いた少年を悪夢が襲う表題作?「Everything's Eventual」、血なまぐさいラストが驚愕を誘う離婚劇「L.T.'s Theory of Pets」、O・ヘンリー賞を受賞したという「Riding the Bullet」などの作品は「幸運の25セント硬貨」に収録されており、本書には収録されていません。続編は本書とタイトルが全く違うので、注意が必要です。(なお、O・ヘンリー賞を受賞した作品は「黒いスーツの男」で「Riding the Bullet」ではありません。)
作品は、ホラーから普通の小説っぽいものまで様々な味わい、玉石混淆。人によって好き嫌いが分かれると思います。スティーヴン・キングならではのホラーを期待する方には、オススメしません。
読む人によって 各編の好き好きがあると思うが 小生は「ジャックハミルトンの死」に惹かれた。この作品はホラーでもなんでもないが キングがたまに見せてくれる「人間への優しい眼差し」に満ちているからである。
例えば
「図書館警察」の中の白血病の子供のエピソードに感動してしまう人
「アトランティスの心」のラストシーンでハンカチを取り出す人
「デッドゾーン」の最後の部分は 涙涙で 人目が恥ずかしくて電車では読まないことにしている方
には是非読んでみて頂きたい。
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