エボラ熱、エイズ、狂牛病、SARS。
これらの疫病がもし意図的に研究室でつくられ、
特定の団体が世界に放ち、特効薬までもを操作していたとしたら。
得をするのはWHO?
本作では5番目の疫病が日本を襲います。
ウィーン在住の主人公・タメヨリは、
患者の外見からあらゆる病気を読み取ることができる優秀な医師です。
彼が日本へ戻り、5番目の疫病と闘うのがメインストーリーです。
書店で本書のプロローグを立ち読みしました。
特に、プロローグのどこまでが事実なのか判らない書き方と、
出版社が力を入れている作品なんだなあという思いからの購入です。
前半部分は、違う立場の登場人物がそれぞれ物語りを進めて、
痛みを感じない無痛症の精神虚弱者など、
キャラクターが立っていて物語に引き込まれました。
後半に向かってその物語が一つに収束する構成です。
『ジェノサイド』を読んだ人にとっては、
乱暴に言えば、縮小版ジェノサイド、のようなイメージでしょうか。
個人的には、ネタが面白いだけに、
気になった部分の多い作品でやや残念です。
中欧と日本を舞台にしているのに、
イマヒトツ伝わってこなかった物語の広がり。
愛に狂い中欧を迷走する部分がややくどかった。
(必要性をあまり感じない)
一番げんなりしたのが、
催眠術にかかった登場人物のラスト。
展開がご都合主義的で、それはないだろう、
という肩透かし感があって、私はとても残念でした。
書きおろしで990枚、1900円+税。
全体として面白い作品とは思いますが、
僭越ながら個人的には文庫で十分と思います。
(文庫だと上下巻でしょうか)