本書は、教室第二言語習得研究の成果を基盤にして、それらのうち、
英語学習や英語教育に活かせるものを中心にまとめられたものである。
従って、第二言語習得研究の概説書ではなく、より実践に目が向け
られた、主として英語教師(や志望者)、英語学習者に向けられて
書かれた性質を持っている。
具体的な内容としては、インプット中心、アウトプット中心、インター
アクション中心の英語学習法と英語指導法をまずそれぞれ示している。
第二言語習得研究は、多様な環境によって結果が異なってくることも
あるため、諸説入り乱れることもあるが、これら(インプット、アウト
プット、インターアクション)の重要性は、広く認められているもので
あるだろう。これらに加え、フォーカス・オン・フォームによる文法
の習得、第二言語学習と個人差、社会文化的要因と第二言語学習、
第二言語学習の目的等もまとめられている。
これらのテーマが本書で扱われている背景には、まず、著者の「第二
言語習得研究は英語教育に大いに寄与する」という信念がある。
その上で、インプット、アウトプット、インターアクション、フォー
カス・オン・フォーム、社会言語能力、動機といったことが、英語
習得上に非常に重要な役割を果たすということを、著者の経験や研究
で実感してきたことがある。そのため、本書を読んでいると、著者の
主張には、自信に裏打ちされた力強さを感じる。
第二言語習得を理論としてではなく、実際に英語教育や英語学習にどの
ように寄与するのかに対して関心をお持ちの方には、特に興味深く
読めるだろう。