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暖房もない爆撃機に乗り込み、戦艦に座乗し、カイロ・テヘラン・ケベック・モスクワ・ワシントンと飛び回る70歳に近い老人のこのエネルギーは信じがたい。またこの救国の大政治家とその戦時内閣を、ベルリンの陥落とともに、対日戦の結果を待たずに罷免する英国の民主主義のしたたかさにも敬意を覚える。
もっとも瞠目するのは、この著者の叙述の巧みさ、警句箴言の宝庫とも言うべき含蓄深い表現が見られることである。また対日戦にはあまり関心がなかったようであるが、ミッドウエイの劇的な日本の敗因を「言葉の複雑さ」であろうと推察したり、レイテ戦の栗田艦隊謎のUターンについては栗田に同情的で、独特の戦略眼もうかがえる。
戦後の冷戦体制の芽生えや、近年重要視されている中東事情の萌芽に関する記述も数多く見られるが、そこは一方の当事者の述懐であるので、割り引いて読む必要があろう。中公新書「チャーチル」との併読を勧める。
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