佐藤優さんと田原総一朗さんの対談形式。会話ベースなので話の展開が速く、冗長さが無いので読んでいて飽きない。
しかし冒頭9・11の話題では、肝心な事に触れていないと感じる。この二人は世界情勢の裏側、陰謀渦巻くやりとりを知っていながら、大衆向けの内容ではそれをあまり出さないということを、互いに口には出さずとも了解しているのではないかと思ってしまう。
それならばこの本は、二人が豊富にもつエピソードを楽しむつもりで読むのが正解ではないか。例えば275ページ、「アメリカの日本占領政策を動かした有末精三の働き」の部分。占領軍と折衝した有末が「軍票を使うと共産革命が起こるぞ」と脅した、などというエピソードは非常に興味深い。日本が占領されたその時に、ただうなだれているだけでなく、実際に現場の人間が知恵を使いどう行動したかという話は大変価値があるものと感じる。
本書で紹介されるさまざまなエピソードから、日本がこれから生き残る為には憲法や歴史観などを堂々と議論すると同時に、日本的なあいまいさを許容することが大切ではないかと考えた。