東京創元社が50年くらい前に翻訳&出版したナチス・ドイツ(第三帝国)の
通史もの。今回、新訳を持って再版されたのが本書です。
本書ではヒトラーの出生→10代のヒトラー→政治活動への傾倒→ナチス
(その前身も含め)の台頭と他勢力を含む権謀術数→首相就任(合法的に権力
簒奪)→1934/9/4、ニュルンベルクの党大会までを約440pに詰め込んでいます。
有史上まれに見る独裁者の人格や思想の形成、初期ナチス党やワイマール
共和国にドイツ陸軍といった各勢力間、並びに各勢力内部に於ける権謀術数
(今日の敵は明日の味方。そしてその反対を地で行く展開)、ヒトラーと
ナチス党が如何にしてドイツ国内(国民)に浸透していったのか・・・等、を
一気に俯瞰出来ます。
そして(著者曰く「第三帝国は最も資料が残っている国家」というだけ
あって)各種史料を元にして描くことで読者の眼前にまさに今繰り広げられて
いるかの如く、場面場面を再現することに成功しています。
当時のドイツについて知りたい、と思う方には強くお勧めしたい、というのが
読後の感想です。
ついでに書くと「ソフトカバー」という体裁にすることで2,300円という抑え
目の価格で出版した東京創元社にも感謝。
ただ、折角新訳まで得て再販するのなら・・・人名事典つけるとか(登場人物
が多い)、ちょっとした用語集つけるとか(例えば平気で「プッチ」「プッチ」
と連呼していますが、独語をそのまま使うなら攻めて「一揆」といった日本語訳
を注釈としてつけた方が良いだろうと思うのです)してもらえると、より読み
易かったのではと思う次第です。