第三世界の農村開発というタイトルなので、途上国開発に関心のない人がこの本を読むことはないと思うが、万人に読んで欲しい本である。特に社会科学の研究者や政策に関わる人、マーケティング部門の人などには有用なのではないか。途上国の調査は、交通の便の悪い農村深部より交通の便の良い都市近郊になりやすい、調査期間は移動しにくい雨期よりも調査の行いやすい乾期に行われる、調査対象は人目を避けたがる最貧層の人々より地元の有力者や教養があって表現力の豊かなエリートになりやすい等々、様々な過程で情報が偏り、バイアスがかかり、正確な情報が得られなくなる要因が実に具体的に且つ包括的に語られている。少し抽象化をすれば、途上国開発のみならず、「データを収集・分析する、もしくはそれらのデータに基づいて意志決定する」様々な活動に応用が可能だ。農村や途上国開発にしか関係のない部分はむしろ少ない。タイトルに惑わされず、「データを収集・分析する、もしくはそれらのデータに基づいて意志決定する」ことに携わる人は是非手にとって読んで見ることをお勧めする。