「序文」で、グリーン自身が「『第三の男』は読んでもらうためにではなく、見てもらうために書いたものだ、と言っているように、この本は映画のほうが圧倒的に有名で、私も過去何度かTV,DVDで観たものだ。あえて、原作を読んでみた。
原作を読めば、第二次大戦後のウイーンは米英仏ソ4カ国に共同管理されていたこと、ペニシリンの闇取引が横行していたこと、既に西側と東側の冷戦構造が見え隠れしていたこと等々がよくわかり、映画を観るにあたり予備知識としてなかなか興味深い。
映画は原作と若干変わっているのだ。一番の違いは、映画史上最も有名なラスト・シーンといわれている、例のあのシーン。映画ではアン・ハッピー・エンディングで終わっているのだが、グリーンも納得済みの好結果となった。良質のサスペンスは映画も原作も、どちらもいいものだ。