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一応、『検察捜査』『違法弁護』『司法戦争』という「法曹三部作」を過去に読んだことがあるのだが、それらは「今の司法界が抱える問題点を抉り出す」という側面が強かったためか、やや、法曹界の対立関係だとかの説明がくどくなり過ぎた感があり、エンターテインメント性で劣る感があった。が、この作品は、リーガル・サスペンスの第一人者らしく法律関連の知識を十分に使いながらも、しっかりと「エンターテインメント性」を全面に出しており素直に楽しむことが出来た。
どちらかと言うと、やる気の無い弁護士である京森という主人公も魅力的だ。
法律の世界が舞台、というと小難しいイメージがあると思うが、全くそれを感じることなく楽しめる作品だと思う。
時勢柄、法律絡みの話ってすごく興味があるんだけど、同じく興味のある「社会性のある話」が加わって、素材は満足。仕上げ方も、京森氏が変に正義ぶったりデキル弁護士だったりしない分、身近に感じてグー。どのお話も推理モノというよりもサスペンスモノという作りで、読者が京森氏よりも先に事実を知らされている事が多いんだけど、それを逆手に取るような展開が多い。なので、「あぁそうじゃないよ京森君」とか「そっち行っちゃ危ないよ」など、感情移入してしまうのですよ。
5編の中で一番良かったのが、「鑑定証拠」。畳みかける尋問シーンが、素晴らしかったです。
弁護士モノ・法廷モノというと海外モノが多いというイメージがあるけど、司法が身近にないから題材にしづらいという面もあったと思う。でも、ロースクールや陪審員制度の導入と言った司法制度改革が進む昨今、自信を持って人様に薦められる弁護士モノの作品だと思うです。
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