本作は7年ぶりのテニスン復活に相応しい傑作だ。
前作から7年がたったこともあり、これまでの作風とは大きく違う点がいくつかある。
まず飛び込んできた印象は、映像の色調の変化だ。
冒頭シークエンスをはじめ全体的に明るくコントラストがハッキリしており、さながら「24」を彷彿とさせる。
これまでの、イギリス特有の天候にも似た、どこか暗く湿気のあるような印象が多い色調とは随分違う。
これは、舞台が現在の好調なイギリス経済を支えるの首都ロンドンであることとも無関係ではないかもしれない。
市内のランドマークを背景にした撮影シーンがいくつもあり、これまでより華やいだ作風へ変化している。
また、過去にも移民問題をテーマにした作品はあったが、今回ほど”政治”がカギを握るストーリーも始めてだ。
この二つの違いが交わることで、本作はこれまでになくスケールの大きな作品となることに成功している。
しかし、このシリーズの特長である、真犯人は誰かは結構早く予想がつくが、どうやって追い詰めていくのかが常に見せ所、というツボはキッチリ押さえている。
本作も、最後の最後まで落とし所が見えず、ギリギリまで画面から目が放せない。
相変わらずテニスンは猪突猛進で、容疑者に最後の追い込みをかける取調室での迫力と用意周到さは変わらない。
そして、事件の被害者への一徹なまでの慈愛、そして随所に散りばめられたシニカルなジョークなども。
あえて少々寂しい点をあげれば、昔のお馴染みのメンバーが顔を出さないところあたりか。
女性警官を主人公にした作品で、TVでも映画でもこのシリーズを超えるものは、今後出てこないのではないだろうか。
ヘレン・ミレンに改めて拍手を贈りたい。