自他共に認める聞き上手高田文夫が、敬愛する東京お笑い芸人九名を招いての対談集。
人選と言い、話題と言い、著者の江戸前のお笑いに対する思い入れが充溢する一書。
読みながら、各人の独特の肉声が耳に響くようで、大変楽しませてもらった。
それにしても、そもそも東京のお笑いとは何なのだろう?ここに登場していない大御所ビートたけしも含めて、彼らに共通する美学とは何か?それは、一種の「照れ」ではないだろうか?気の利いた言葉一つで、衆目の関心を一気に浚ってしまうことに対する、申し訳ないような「照れ」の気持ちではないか。
それを思えば、カバーに描かれた九人衆の似顔絵が何とも、人懐こくも奥ゆかしくも思えてくる。談志のツッパリは、含羞の裏返しなのだ。
かつて談志が、落語の枕で語っていたことがある。「自然なんかどうだっていいんで、人間の方がよっぽど面白いんだ」と。
正に、人間の面白さに対する信頼に満ちた一書である(H24.1.29)。