アメリカを代表する作家トマス・ピンチョンで最も読みやすい本と言われる本書。
というわけで私も本書をピンチョンの最初の一冊に選んだ。(まだこれしか読んでいませんが)
あらすじについてはここでは特に触れない。
著者の博学に基づく脱線と奇抜なキャラクター達とが目紛しく展開され
確かに“難解”という印象は持つが、
それでも純粋に物語として面白く描かれているのは、さすが世界の巨匠という印象を受けた。
読み終わった後、頭の中が「???」で一杯になるが、
それを解きほぐすのが本編後の『49の手引き』。
ここで訳者が簡単な背景知識とともに
全体を俯瞰させる“読み方のヒント”をいくつか提示してくれる。
結局この後ちくま文庫版を購入したのだが、本作を読み解く“知識”はちくま文庫版のほうが充実している。
(ここは訳者も、ちくま文庫版に『加えるところは少ない』と述べている)
言い換えるならば、ちくば文庫版で“情報”を、本書で“地図”を持って
この謎を“探検”するのが、この作品を一番楽しめる方法ではないか。
(そして何を“発見=解釈”するかは人それぞれ)
翻訳に関しては、本書のほうがややフランク、ちくま文庫版のほうが堅い印象を受ける。
あとは“情報”を選ぶか“地図”を選ぶかだが、
読書家はある程度自分で“地図”を作れるだろうから、
私(20代)みたいな若い方、読書経験が少ない方は、本書のほうが良いと思う。
一回読んだだけでは星3つ、『49の手引き』まで読み終わり星4つ、
そしてもう一回読み直して5つ星、本書だけでも十分ピンチョンの世界を堪能できるのではないか。
しかし、これ1冊よりは2冊併用したほうが作品をより楽しめることから
星をひとつ減らさせてもらった。