銀河鉄道の夜について書きたい。
本作は短編なのだろうが 賢治の作品群の中では十分長編である。賢治の本質的な資質は詩人であると僕は考えており 長編大河小説を書く賢治は想像出来ない。だから 本書は賢治にしては長編である。
何故 賢治は この「長さ」を要したのかと考えるだけで一大テーマとなりえる予感がする。
銀河鉄道との「旅」を表現するには ある程度以上の時間が必要であり それを表現する為にも 長さが必要だったのではないか。そんな風に思っているが いずれにせよ まだ自分でも考え抜いた結論ではない。
但し そんな長編の随所に煌めく 賢治の「詩」が本書に比類の無い美しさを与えている。これは間違いない。
「銀河鉄道の夜」は 内容において感動的であるが しかし考えてみると何でカンパネルラが死ななくてはならなかったのかを含め よく分からない。僕としては 賢治を動かして本作を書かせたのは そんな「人間としてのあり方」というような頭でっかちなものではないという気がしてならない。
賢治が書きたいと思ったのは 「銀河を鉄道で死に向かい 旅をする」という鮮烈なイメージではなかったか。それで 同行者であるカムパネルラは死ななくてはならなかったのではないか。そんな風に思える。
賢治が描きたかった鮮烈なイメージは 確かに 賢治の比類の無い「詩人としての資質」を経由して本作に結実している。それが何より美しい。
そんな風に 僕は感じている。