池田屋の変、蛤御門の変と血なまぐささが増すが竜馬の現実的思想はより冷徹さを増してゆく。
激動する長州に潜入し若々しい猛々しさで報告する中島作太郎に「死を賛美するな。土佐っぽは死を急ぎすぎる。これからの時勢はもはや決死剽悍の暴漢だけでは間に合わぬ。土佐っぽの落ち着きの無さをいい加減捨てよ」と説き、逃げた桂を「さすがだな、逃げることを知っている」と評す。
西郷、大久保による薩摩藩の手練手管の外交術は観念主義一辺倒の長州を赤子の手を捻るかのように駆逐していく。
司馬遼太郎をして「革命のために生まれた男」と評された高杉晋作も面白い。「ほかのどの世でもこの男は役に立たない、乱世の革命時にのみ光る」高杉の天才と言われる所以が随所に溢れている。
五巻に入りそれぞれの人物が一気に加速し動き出し接触しだす。
坂竜飛騰。縦横無尽に志士たちが飛騰する。