【あらすじ】
作家の水守響呼は不思議な力を持っていた。彼女の左目は、妖怪や幽霊といった
異界の住人たちの姿を見ることが出来るのだ。
そんな響呼が、ある時、住み慣れたアパートを失い、途中で知り合った猫耳少女
《ひなぎく》をともない、《竜宮ホテル》へと移り住むことになる。
今は補修中で、建物が傷まないようにアパートとして部屋を貸しているという
《竜宮ホテル》は、レトロで美しくも、何処か不思議な空間だった。
これまで響呼は、執筆一筋で余り人と関わる事もなく、妖怪の世界をも否定しな
がら生きてきた。しかし、《竜宮ホテル》で暮らすことによって、人やそうでない
者たちと自然と触れ合い、少しずつ変わっていく――
【感想】
《竜宮ホテル》のレトロで不思議な光景が目に浮かぶようで、するっと物語の世界へ
と入り込むことが出来ました。
そこで暮らす人やそうでない者たちとの触れ合いも、とても優しく描かれています。
ライトノベルと文学と童話を上手く織り交ぜていると思います。
ただ、途中で入ってくるSF要素は唐突感がありました。物語の中では重要な要素
ですが、SF設定は個人的にはない方が良かったです……。
終始優しい言葉で綴られていて、最後まであたたかい気持ちにさせてくれる物語でした。
真新しいことは何もないのですが、最後の余韻が良かったです。
シリーズ化が決まっているということなので、次作も期待したいと思います。