● 九州吹き戻し
話自体に笑わせる仕掛けがあるわけではなく、性格描写で笑わせるしかない。そんな話でテンポよくコンスタントに笑いを取る。笑いのセンスの若さと古典の幸福な結合。
●文七元結
娘が身を売った金を見ず知らずの他人に投げ与える行動に納得性を与えるのは難しい。どの演者も悩んでいるだろうこの課題をとことん考え抜いたことがうかがえる。
志ん朝は時間をかけてとことんためらった末にそうしかできない底抜けの優しさを表現したが、談春の長兵衛はやや激情型。それでも納得しながら泣かされてしまう。
投げつけられたものが石でなく金だと文七が気づくところを説明で処理したのが解せないが、敬愛する志ん朝を越える表現ができず、あえて敬して回避した、と取るのはうがち過ぎか?