久々に発売になった「折り紙建築」の本である。なぜか、書名に「折り紙建築」の文字がない。「立体折り紙アート」などというと、普通の「折り紙」を連想してしまう。普通の「折り紙」は、正方形の1枚の紙を折るだけで立体を仕上げる。決して、紙を切ったりはしない。が、この「折り紙建築」は、カッターナイフなどを使って紙を切り、切った紙を山折りしたり、谷折りしたりして建物のような立体的な形をつくる。この立体は必ず2つ折りすることができ、その2つ折りの白い紙を開くと、世界中の建築物などの様々な造形が飛び出す、いわゆるポップアップカードの一種である。
「折り紙建築」の創始者・茶谷正洋氏は、すでに2008年に亡くなっている。その茶谷正洋氏の一番弟子の中沢圭子氏は、多くの本の出版、各地で折り紙建築立体ペーパーアート講座を開講と、後継者として活躍している。ただし、実際に「折り紙建築」の家元?を継承しているのは、長女の茶谷亜矢氏らしい。
今回の本は、茶谷正洋氏の遺作集とでも言うべきもので、亜矢氏の作品は2作品しかないという。内容は、「口絵」「用具と材料」「基本のテクニック」「作り方の基本」「作品MAP(作品の所在が示された世界地図)」の後に、30の名建築(富士山とかモアイ像とか建築ではないものも一部ある)の型紙が載せられている。そして、最後に「名所ガイド」として上記30作品の観光ガイドのような簡単な紹介がある。
これから「折り紙建築」を始めようという人、「折り紙建築」関連の本を持っていない人なら何の問題もないのだろう。が、すでに「折り紙建築」関連本を複数持っているような人には不満の残る内容だ。なぜなら、1/3以上の作品が、過去の関連本に載っているものと同じ作品だからだ。「折り紙建築」関連で一番の売れ筋の『折り紙建築 世界遺産をつくろう! 茶谷正洋・中沢圭子/著』には、上記30作品のうちの11作品が載っている。
また、『折り紙建築 世界遺産をつくろう!』に載っていない作品でも、「28 ホワイトハウス」などは、「折り紙建築」関連本の第1作『折り紙建築』に、すでに載っている。「06 円形闘技場」も、ほとんど同じ形で、さらに複雑なものが「円形劇場」として『折り紙建築』に載っている。
作品はすべて90度に開くもので、よりむずかしい180度に展開するものはない。「用具と材料」「基本のテクニック」「作り方の基本」などの説明は、詳しく親切になっているし、ターゲットを初心者に合わせた内容といえる。「折り紙建築」に興味を持ち、これから「折り紙建築」を始めようという人には良い入門書になると思われる。
なお、これまでの「折り紙建築」の本は、あらゆる日本文に全く同じ内容の英文が載っていて、最初から世界展開を目指していた感があったが、今回の本は日本文だけである。