水城せとなさんがいわゆる「ボーイズラブ」というカテゴリーから離れてしまってからも、
少女誌、女性誌かまわず読みつづけてきました。
作者独自の世界観といったものが、非常に私のツボにはまるものでしたから。
本来、水城さんの作品というのは結構後味の悪い(失礼)ものが多いのですが、そのぶん
マンガにありがちな「ご都合主義」的なものが少なく、ものすごくリアルです。
昨今、巷にあふれる『BL系』といわれる作品の中でも、そういった面でかなり異色でした。
そのため水城さんが「自分の描きたいものは別にBLの枠に入らなくても描ける」と判断されて、
BL界から離れてしまったときにも、一抹の寂しさを覚えつつも納得していました。
しかし今回のこの作品を読んで、改めて納得してしまいました。
「やはり水城せとなの本領が発揮されるのは、同性愛という分野である」と。
それはもはや、「BL系」などという子供だましの分野に留まるものではありません。
無駄なく、リアルでとても痛い愛情を、不安定に、でもとてもまっすぐに見つめて描かれている
作品でした。とてもたった一冊の作品とは思えない内容とまとまり。思わず本を持つ手が震えました。
水城せとなさんの作品を10年以上読みつづけている私にとって、何年か振りに本当に心が
震える作品でした。また、このような作品をぜひ生み出していただきたいと願ってやみません。