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前半はサントリーの健康食品事業部で男性機能の回復も図れる精力剤「マカ」を扱う日々の中で展開する、抱腹絶倒・痛快無比・大胆“素敵”・マカ不思議なOL生活を綴っています。社内の恥部を一社員がここまで晒すことを許してしまうサントリーという企業の能天気ぶり、いえ失礼、懐の深さはにわかには信じ難いほどです。他社の社員だから無邪気におなかを抱えて読んでいられますが、自社の社員であったなら、ましてや自分の部下であったりしたなら、それは絶対に願い下げだと言いたくなるほど赤裸々な記述に驚くことしきりです。そで(表紙カバーの折り返し部分)には非常に美しい著者近影が掲載されていますが、これほどの美人と内容の臆面のなさとの落差が読んでいて頭の中で結びつかないところがまた可笑しいのです。
一転して後半の「ちいさな心の風景」以降は、斎藤家三代にわたる一族の物語をしっとりとした筆遣いで描き、心に染みるエッセイに仕上がっています。
幼い頃から毎年大晦日に続けてきた父との二人きりの外出を綴った「初めてのデート」は殊に胸に迫るものがありました。そこにあることが当たり前にしか思えなかった何気ない家族の一風景が、時を経て何ものにも替え難い大切な想い出へと姿を変える。それは限りある人生にこっそりと潜んでいる味な部分なのです。
そしてこのエッセイは同時に、親が老いるという残酷なまでに厳しい現実を見せつけてもくれます。著者の娘としての切ない思いが、70歳を超えた父親を持つ私自身の心にも重なってきて、深い溜息をつきながら読んだ一編です。
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