受、築の視点ですすみますが、これって逆のほうがよかったのでは?とまず思いました。
この話の中で変わっていく、というより重たい一歩を踏み出すのは、築と見せかけて、断然攻の新のほうですよね。
その気持ちの変遷が、いまひとつはっきりしない。
それに新があきらかに思いを寄せていると思われる女性がいて、そっちから築に気持ちがうつる部分があまりに突然で、え? それでいきなりあのノリで告白すんの? って思ってしまいました。
いちどは築の態度にあんなに怒っていたのにな。
あそこではまだ新は、女性のほうに気があるという書かれ方だった気がします。
そこでのやりとりで築への気持ちに気づいたとしてもそのあと、ためらった形跡はあるけれど、あまりにも急展開でラブモード。
そこがまっすぐな性格というより、バカなの? と思えてしまって仕方がなかったです。
短編のほうで少しは補完されていましたが、それまでにこの攻に感情移入できなくなってしまったので、どうしてもピンとこなかった。
一方築はさほど変わった人間ではないので、このお話の中ではごくごく普通に、コンプレックスがちがち人間が遅い初恋に落ちてとまどっただけという感じです。
というわけで新という人間をもっと掘り下げて見たかった。
逆に築のひねくれたかわいさは、新の視点でも十分に伝えられたのではないのと思ったのです。
でも一時期とても崩れた、というか推敲不足みたいな、走り書きのポエムみたいな、乱れた感じだった文章が最近すこし整然としてきて、それはなによりうれしいです。
この方の小説はこれだけが楽しみで買っているのでなおさら。
あとは毎度のことですが、やっぱりうんちくコーナーがちょっとわずらわしい。
これらをもっと自然に作中に生かすことはできないのでしょうか。
うんちく→キャラの心情に落とす、というパターンがあまりにもあからさまで量としても多く、時に強引でキャラというより作者の意図のほうが見えてしまって嫌気がさします。
今回の場合、途中は蚕の観察日記読まされてるみたいな気になりました。
とてもうまくお話に絡めてはあるけれど、ここまで詳細に書くことだろうか。
それだったら短編の中で補完した新の内面を、本編中でエピソードとして見たかったです。