短編集なので4つの物語が語られていますが、一番好きなのは「幸福な淑女」です。他の3つとはまったく毛色が違い、非常に大人なお話でした。ものすごく後味悪いです。が、それがよいのです。
ラスト付近、「おかあさまはしあわせだと思う?」というドロシアの問いかけが苦いです。家族からはできるだけいい条件の男を結婚しろとせっつかれ、親の言う通り完璧な「淑女」になろうと努力したのに社交界ではつまらない女として壁際に追いやられ……。ようやく得た誰からも羨まれるような結婚が少しも幸せではないのに、弱音を吐くこともできず、かといって貞淑な妻という枠を飛び出すこともできず。。。
確かに、娘に八つ当たり(のようにしか見えない)しているドロシアは良き母ではないと思いますが、それは全部彼女のせいだろうか??夫の愛人だった女性も報われないけど、正妻だって幸運とは言い難い。家と家との結婚はこんなにも不幸を産むんだなぁ〜と、読んでいるのが少女小説であることも忘れてうなってしまいました。
個人的にこういうどうしようもない話が好きなので思いっきりツボでした。もっと血なまぐさくて濃い感じでもよかったけど……そこらへんにコバルトの限界を感じます(笑)
「幸福な淑女」という皮肉なタイトルも心に残りますね。久しぶりに良質な読み物を読ませていただきました。