一年前の著者は、三十歳そこそこでヒルズ族の仲間入りを果たし、誰もがうらやむゴージャスな生活を楽しんでいました。
ところがいまや、脱税のため億単位の負債を抱え、二畳一間の風呂なし小部屋にという絵に描いたような転落をしてしまいました。しかも、この負債は「税金」なので、破産することすら不可能という状況です。
普通の人ならとっくに自殺してもおかしくない悲惨な話ですが、なぜか著者の明るさは消えていません。その後も車においていた事業資金の三百万円の現金が盗まれるなど、ふんだりけったりのようですが、著者の人柄からか、なぜか笑えてしまうつくりになっております。
私が感動した部分を引用しますね。
(マルサのガサ入れ当日に)「ケータイショップに立ち寄り、アドレス帳を全部消してもらうようお願いしました。もしアドレス帳が真っ白だと、マルサに見つかったときに不審がられるでしょう。でも、まったく関係ない友人や知人にまでとばっちりがいくよりはマシだと思ったのです。」(18ページより)
ある意味で「証拠隠滅」「墓穴を掘る」行為かも知れませんが、そんな土壇場でも友人や知人を気遣う著者の人間性がここに集約されていると思います。
かつての矢沢永吉氏のように、この人も「税金完納」「完全復活」しそうな予感がします。