6人の著者がそれぞれの分野の立場から「空間」と「管理」について述べている。具体例も豊富で面白いのだが、それぞれの分量は多くなく、若干の物足りなさは否めない。
特に第一章の阿部潔。彼が提示した「自由な空間」「空間の自由」という言葉は面白いのだが、結局「規律訓練型権力」「環境管理型権力」の換言でしかない。
彼は「空間の自由」が奪われることで、「予期せぬもの」「おもいがけぬもの」に遭遇する可能性が排除されているというが、本当の問題は、現状が一見すると排除されて構わない可能性しか排除されてない点にある。
「予期せぬ事故」「思いがけぬ犯罪」をセキュリティが確実に仕留め始めている以上、そうした批判の仕方は見事に説得力を失っている。監視カメラの有用性が事後的であると言う指摘も、監視カメラ擁護派の「スキャンニングとモニタリングの精度を上げろ」という主張に流用されかねない。
というかそうした点は東浩紀・大澤真幸が2003年時点で「自由を考える」で散々指摘しており、彼らがその中で述べたことがより確実に現実のものとなっていったのがこの3年間ではなかったのか。だとするならば、阿部の議論は3年前から半歩後退したに過ぎないものに聞こえてくる。