大学の卒論で何を書こうか悩んで、ふと「お化け屋敷」が頭に浮かんだ。どうして人は皆古い家を見て「お化け屋敷」と思うのか、調べてみたかった。最初の卒論のテーマ発表の時、「お化け屋敷」と聞いてみんな笑った。でも、書きあがった卒論は結局、この書物に既に書かれていた物質的想像力のことだった。書いた後にこの本の存在を知り、もうここまで書いている人がいたではないか、と悔しかった。私が書きたかったこと、書ききれなかったことが全部、書かれている。
物質的想像力というと難しそうだが、「廃屋や古い屋敷を見ると、殆どの人がそこに何か霊的なものが存在する、つまり『お化け屋敷』というイメージを持つ」というような、人の物に対する想像力のことである。逆に言えば、物が人にどんな想像をさせるか。人の思いが物に宿るような気がするのも、同じ。誰かが大事にしていたものは、只のものではなく、その人が大事にしていたということで捨てられなかったり。
ゆったりとした気持ちで、落ち着いて、じっくり読むと、とても面白い本である。おまけに文庫本が出ているなんて。もっと手軽に読めるだろう。