臨時講師としてやってきた羽田幹と、パン屋の長男薫の、
出会いから気持ちが通じるまで、続くカミングアウト、
父の死とパン屋存亡の危機、物理的距離、そして愛が確かに通じ合う瞬間。
二人の軌跡が、丁寧に、綺麗に描かれています。
カミングアウトは、ともするとうそ臭くなりそうですが、
この物語では、家族の思いや世間の目に対する配慮が、
かなり現実的に描かれています。
そして、暗い雰囲気になりそうなのを、どんな時でも救ってくれるのが、
幹の存在。とにかく、羽田兄弟はいつでもステキですが、この幹の
飛びっぷりもやはり、最高!でした。甘ったれで、寂しん坊で、
でも、おおらかで優しい。懐が浅いのか深いのか、わからないくらい
我儘で、思いやり深い。弱くて強い、ホントに愛すべき存在です。
ストーリーは、しっとりと穏やかで、心にほんのり切なさが残るような。
読む際は、片手間ではなく、じっくりと腰を据えてどうぞ。