現在の日本と世界の空港政策を対比し、何が問題なのかを分析している。既知の問題点ではあったが、1空港当たりの収支やターミナルビル、駐車場などと基本的な空港設備の経営が空港によって別だったり一緒だったりという、かなり基本的な点で見えにくい日本の空港会計の問題点をきっちり示せたという点で、本書は評価できる。また、財務諸表を公開している英米を中心に、空港で世界から人を呼ぼうとする外国の空港運営方法を記しているのは興味深かった。
しかし、本書にはやや読みにくさを感じる。空港会計の考え方について、多く論じられているのもあるが、議論を進めているのか並列して提示しているのか今ひとつ分からない。今後の空港政策をどうすればいいかという政策提示の見通しの悪さも感じる。関西3空港の運用や成田羽田の内際関係など、各空港の個別的問題と会計基準の統合や空港整備特別勘定の廃止などといった全体的な問題が順不同でごっちゃになって書かれていて、すっきりしない。大項目、小項目でくくれば、読みやすかったろう。3章の航空会社の経営史については、空港と航空はコインの表裏とはいうものの、本書の主題に不可欠というほどのものではないし、今や月に何冊も本が出ていて不要ではないだろうか。この3章を略して、諸外国の空港政策を厚く論じれば、より良い空港政策の本になったのではないか。
また、「情報公開を進めつつ住民自身による空港のガバナンスが必要」「赤字であっても巨額すぎず、地域活性化に寄与していれば有用な空港」とする本書の結論には同意できるが、海外や能登空港などの成功例を基に、その政策をどう実施するか、という所にまで踏み込んで論じて欲しかった。