知りませんでした。人造石油を戦時中に作ろうとしていたなんて!
知りませんでした。日米開戦をしたら負けるというシュミレーションが出ていたなんて!
太平洋戦争のイメージはいつもモノクロ。
戦時中の写真のせいだと思う。
無表情で敬礼する兵隊。
もんぺ姿にひっつめ髪で配給を待つ人々。
バラバラと戦闘機から落ちる焼夷弾。
不気味なキノコ雲。
「天皇陛下万歳!」で名誉の自爆。
あの戦争は日本は北朝鮮のように軍部に洗脳され
欧米列強にも「勝てる」という妄想にとらわれた負の時代。
理性とか、分析能力とか、リスクヘッジとか考えられなかった
天皇=絶対神、の哀れにも愚かな大和魂の教条主義。
と思ってた。
でも、意外と冷静だったみたいです。戦争前夜は。
戦争したらどうなるか、エネルギーの石油は持つか持たないか。
インドネシアの油田から運んでこられるかなど、あれこれ試算していたんです。
それがもう、ビックリ。
そんなに理知的で分析能力にも長けていた日本が結局なぜ戦争に突入したか?
猪瀬直樹氏はそれを「ムード」と位置づけています。
それは単に「なんとなく勝てそうな」というようなムードではなく、陸軍、海軍の思惑、
今でいうお役人のメンツや既得権益といった、狭い世界の淀んだ空気の中で
にっちもさっちも行かなく煮詰まっていく様子を指しています。
その過程に息がつまります。
猪瀬氏の「いまも起きていることと同じような日常性が日米戦を呼び込んだのではないか」という一文に、
歴史を繰り返す人類の悲しさと、逆に歴史を知ることから出発しなくてはならいという強い決意を感じました。