これは実に良い本でしたよ。本書は全体にわたって実に詳細な説明があり、読み応え抜群の一冊でした。岩井氏の御人柄だと思うが、全体的に歯に衣着せぬ文章で、自分の失敗談なども正直に告白されていたりして、非常にさっぱりした印象を受け好感が持てる。飛練(六期)から佐伯空を経て、次々と同期生が戦地に配属されていくなかで、鈴鹿空に配属となり、なかなか活躍の場が巡ってこなかった。その後、満を持して十二空へ配属。そして、あの零戦の初陣において大戦果を収めた戦いに加わる事になるのである。十二空零戦隊は、横山大尉のA班、進藤大尉のB班に分かれていたが、彼は進藤大尉のB班に名を連ねていたので、初の大戦果をあげた13機の中の一人となったのである。山下空曹長、高塚一空曹など、歴戦のパイロットの中で、岩井二空曹は、堂々2機を撃墜し、早くもゼロファイター・ゴッドの片鱗をみせる。その後、筑波空、大村空と内地勤務につくが、この大村空でのエピソードは面白かった。赤松貞明空曹長が、岩井氏の結婚式での大暴れしたという事件や、横山大尉が部下を引き連れて憲兵隊に殴りこみをかけた事件など、もちろん資料などには残らない貴重なエピソードが書かれていたので、得した気分でありました。航空母艦「瑞鳳」に転勤し、母艦搭乗員となる。参加した作戦の模様はもちろんだが、空母の着艦方法、零戦の射撃方法、空戦のノウハウなどが惜しげもなく披露されており、大変勉強になりました。機首を上下に振って20mm弾を散らし、敵機を撃墜するなど、いかにも老練な搭乗員らしいと感服した。台南空、六○一空(空母瑞鶴乗組み)などを経て終戦となる。六○一空での戦いも多くの紙面を割かれています。空戦記の少ない航空隊だと思いますので、是非どうぞ。