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この物語には家族それぞれの痛みと哀しみが、柔らかな感性で描かれています。
ズキンズキンとくるんじゃない、そうじゃなくて、もっとぼんやりとした、哀しみの実態が、大事に描かれています。
自分だけじゃないんだ、って思いました。
些細な言葉のひとつひとつが、ちくんと胸に突き刺さるたびに、
“読み手にとっての私小説”(ってそんなむちゃくちゃな定義があり得るのかどうかもわかんないんだけど・・・)みたい、と思いました。
家族といっても、お互いを完全に理解しあえるわけなく、
家族といっても、お互いを完全に所有しているわけではない。
それぞれがそれぞれの価値観でこの核家族を自分の人生の中で
位置付けている。
それぞれが父親、母親、子供というぼんやりとした役割を演じ、
読者はそれが幻想であることを意識させられます。
人はそれぞれ孤独で、孤独ながらも人と関係を持ち生きていく。
分かり合えているなんて本当は幻想で、楽しく会話をしていても
実はバッチリすれ違っていたりする。
そんな孤独の可笑しさを楽しみました。
何ごともつつみかくさず・・・という家族が、それぞれの胸の内に抱え込んだ闇を、鮮やかに描いています。そのそれぞれのズレが面白さとなっているのですが、マナもコウも母・絵里子のモットーを頭の隅に置いて、結構、家族のことを考える子に育っているのがいいなあ、と感じました。図らずも、角田さんの描いた『空中庭園』は、二重の意味において成功しているのではないでしょうか。
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