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51 人中、48人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
日常に疲れた人に,
By 砂原 誠 (北海道) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 空中ブランコ (文春文庫) (文庫)
小説を読んでこんなに笑ったのは久しぶりだ。人間みんなどこか可笑しなところがあるよね、というユーモアに溢れた人間賛歌。 飛べなくなった空中ブランコ乗り。 尖ったものが苦手な先端恐怖症のヤクザ。 義父である教授のヅラをはがしたくなる医師。 ボールが投げられなくなったプロ野球選手。 過去に書いた小説と同じ小説を書いてしまうのではないかと、気に病む女流作家。 それぞれの登場人物たちは、自分がどこかおかしいのではないかと思って伊良部総合病院の神経科のドアを叩く。 しかしそこにはそんな患者たちよりもっとおかしい精神科医、伊良部がいるのである。 丸々と太った体、子供のような言動。 伊良部に振り回されるうちに、患者たちはやがて、まわりの人たちも自分と同じような悩みを持っていることに気づく。 こう書いてしまうと陳腐かもしれないが、実際狭い世界にいると、本当ならこだわらなくてもいいような部分に固執してしまうのはよくあることだ。 僕自身もしばしばそうなる。 このおかしな医師、伊良部はそんな行き詰った人たちの視界をほんのちょっと広げてくれるのかもしれない。 日常に疲れた人に、ぜひおすすめしたい一冊である。
23 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
祝直木賞受賞 とにかくおすすめ,
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レビュー対象商品: 空中ブランコ (単行本)
「マドンナ」「イン・ザ・プール」でおしくも直木賞を逃したが、本作品で第131回直木賞を受賞した。まさに直木賞の名に恥じない作品。(前2作で獲ってもおかしくなかったが・・・)怪作「イン・ザ・プール」の続編。 とにかく、主人公の精神科医・伊良部のキャラクターがよい。 作者の代表作「最悪」「邪魔」とは、全く違った路線の作品でありながら、文章展開のうまさは両群の作品に通じるものであり、本作品ではあらためて作者の才能を痛感させられた。 直木賞をきっかけにこの作品を読まれる方は、もちろんこの作品から読んでもいのだが、できれば「イン・ザ・プール」を先に読んだ方がよりこの作品を楽しめると思う(この作品と遜色のないおもしろさ!!) 最後にうんちくをふたつ。 本作品は、作者が原因不明の腹痛におそわれ、「神経科」に通院した際、2週間ごとの受診が楽しみであった、という実体験を元に書いたそうであり、伊良部のモデルは、同姓のプロ野球選手と、漫画「こまわりくん」キャラを合わせたものだそうである。
17 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
題材は深刻なはずなのに笑える。「大人のおとぎ話」のような作品,
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レビュー対象商品: 空中ブランコ (単行本)
「イン・ザ・プール」に続く伊良部先生の診察室第二弾。相変わらず笑える。患者の症状は前作の方が面白い(例えば「勃ちっぱなし」)が、患者達のキャラクターは本作の方が上だろう。中でも「女流作家」という作品は、著者自身のまじめな気持ちが入っているようでかなりテンションが高く、前のめりになりそうである。この作品にチョットだけ登場し貶されている作家の奥山英太郎は間違いなく著者自身のことである(収入以外は…)。この作品が凄いのは、現代の日本人が抱える心の問題を描いているにも拘わらず、それをそのまま描くのではなく、レベルの高い「笑い」にまで転化されているところなのだろうと思う。さらに、現実にはいそうもない伊良部先生に「私(僕やオレ)もこういう風に治療されてみたいなぁ」と思わせるという意味では、『リアルな大人のおとぎ話』のようにも思える。 笑えすぎる作品なので、なんだか「直木賞」受賞作に思えないような気も一瞬したのだが、文藝春秋社の創設者で直木賞と芥川賞を考案した作家の菊池寛が「作家が書きたくて書いているものが純文芸(芥川賞)で、人を悦ばすために書いているのが大衆文芸(直木賞)だ」と書いた(言った?)のを思い出してみると、この作品はやはり直木賞に相応しい。
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