本、旅の先で、ものをみつめるゆるぎなき眼で書かれてあります。どのエッセイも2・3ページで、無駄な言葉はひとつもありません。一字一句をのがさないように、蜂飼さんに必死でついていくように読みました。詠うようなエッセイです。
『詩人という語は、気障かつ滑稽なニュアンスで使われがちだ。けれども、詩を書く人間たちは、必ずしも花鳥風月を愛でて眠り込んでいるわけではなく、自分の感情を吐露するためにだけ書いているものでもない。言葉の手を握って、引いて、普段の場所から連れ出し、新しいものの見方を示すもの、それが詩だ。』
『言葉が縮める距離を見たい、といつも思っているけれど、言葉は、指し示すだけで縮めはしないのかもしれない。縮めるのは、生きているひとの心拍、滞ることのない血流、気温に合わせて下がりはしないこの体温なのかもしれない。』