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山岳遭難本は当事者が書くために記憶がいいかげんだったり、思いが先行して泣き言を聞かされているような気分になったりして人に読ませる工夫がないのですが、この本は違います。当事者ながらライターでもあるクラカワ氏は出版にあたって再三綿密な取材を行い、つとめて冷静に顛末をまとめています。
読み進むうちに、公募登山隊のシステムや高所登山の方法が一般人にわかる仕組みになっており、読み終わった後はいっぱしの登山通になれます。また、構成や文章、翻訳もよくできていて、期待にわくわくさせる前半から、なんとなく悪い予感をもたせる中盤、恐怖の後半へと一気に読ませます。
この本のなかで、「ガイドの責任を放棄した」と批判されているロシア人ガイド、ブクレーエフ(その後雪崩で死亡)側と出版当時論争になっていましたが、そのブクレーエフの書いた「デスゾーン8848m」も合わせて読むとより興味深いです。
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