UMA(未確認生物)とのファーストコンタクトを扱ったSFではありますが、人
間の美しさを描いた本でもあります。
弱く愚かな人間が、自らの愚かさも弱さも受容し、自然に対して謙虚に、優
しく生きる人間の生き方の美しさに、感動し、涙無しでは読めません。
SFとしても優れものです。UMAの設定は衝撃的にユニークです。ユニークです
が、設定が緻密なのでとてもリアルな内容です。明日、この本の内容が現実
になっても不思議な気がしません。
このUMAの登場(人類との出会い)、人類との交流・衝突、そして結末を描い
たSFとしても一読の価値があります。
本書はライトノベル的な読みやすさを保ちつつ、楽しくて萌えるだけではな
いイイ話を見事に書ききった、いい本です。
作者は、ライトノベルとして執筆しました。しかし、原稿を見た編集者が
「この本は、ハードカバーで出したい!」と情熱をもやし電撃文庫から14年
ぶりのハードカバーとして出版されることになりました。そして、文庫本化
される時は、電撃ではなく角川文庫から出版されました。この経緯が本書の
内容を物語っています。
文庫化される際に、ハードカバーの「空の中」に「仁淀の神様」という掌編
が追加されています。「仁淀の神様」は、「空の中」の後日談ですので、
「空の中」に最終章が1つ追加された感じになっています。
この最終章「仁淀の神様」が、暖かい涙がいっぱい出てしまう内容です。
白鯨とちがい、短い命しか持ち得ない人間も、こうやって無限につながって
いくんだったら悪くないなって思えました。