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空に唄う
 
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空に唄う [単行本]

白岩 玄
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

私って、死んじゃったんですか?――新米の坊さん・海生の目の前に突然現れた、死んだはずの女子大生。誰にも見えない彼女と海生は同居することになるが!? 『野ブタ。をプロデュース』から4年! 待望の文藝賞受賞第一作。

内容(「BOOK」データベースより)

通夜の最中、新米の坊主の前に現れた死んだはずの女子大生。二人は、同居することになるが―。

登録情報

  • 単行本: 245ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2009/2/13)
  • ISBN-10: 4309019110
  • ISBN-13: 978-4309019116
  • 発売日: 2009/2/13
  • 商品の寸法: 19 x 13.2 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
 すでに亡くなっている人に恋をすることは、
有名な人物でもない限り情報を得ることが難しいから
その機会は少ないように思う。しかし、少しでも「交流」できる関係が生じたら・・・。
もしかしたら、恋をしてしまう可能性はないとはいえない。

 海生(かいせい)は、亡くなった女性の葬儀を執り行う席で
亡くなった彼女との交流が始まるのだが、出会いから別れが決まっているのだ。
彼女は死んでいるのだから。

自分が死んだことを理解できない彼女が、たった一人自分の存在を
確認できる海生を頼るのは当然だろうと思う。
それを恋とはいえなくても。

 彼女がどこへいったのか、彼女のために何をすればいいのか、
海生がそれを深刻に悲しむ様子は描かれていない。

 私はこの作品が好きだ。答えを出さなくてもいいこと、
諦めること、受け入れること、
これでいいんじゃないかと、思えること・・。
生きる世界・進む道が違っても、
思い出した時、笑顔になること、、
それしか相手にしてあげられることはないんじゃないかなと思う。
白岩さん、ありがとう。
このレビューは参考になりましたか?
9 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By すの
形式:単行本
ふとしたきっかけで他のひとには見えない幽霊と一緒に過ごす日々という設定は、もはやありふれたもの。TVドラマにもなった「野ブタ。をプロデュース」で、第41回文藝賞(2004年)を受賞、デビューした白岩玄。彼がこのありふれた設定で描く、五年目にしてデビュー二作目は、あるひとりのこれといって特徴のない今どきの青年の、ありふれた日常。もちろん幽霊と一緒に暮らすことは「ありふれた日常」とはいえないのかもしれない。しかし、そうかといって幽霊とともに過ごすことで大きな事件が起きるわけでない。
全体的に、優しく柔らかく、あたたかでおだやかな印象が残る。決して強い小説ではない。読んでいるときに感じる、あるいは読み終わったあとに残る心地よさは否定しない。しかしそれがどこまで読んだ人の心に残るかといえば、なかなか難しい類の作品。強く残ることだけがよい作品ではない。それは否定しない。しかし、それではこの作品をよしとした人のなかで、どれだけのひとがこの作品をしっかり覚えているだろう。そんなことが思われてならなかった。
形式的には、「碕沢さん」という女子大生幽霊が青年に生活に現れたことで、青年の成長を促す青春物語といえなくもない。しかしこの小説の書かれ方は全般的にすべてが強くなく、はっきりとしない書かれ方。例えば、寺の跡取りとなる海生が寺の修行中の坊主であることさえもはっきりと書かれるわけではない。主人公の身のあり方なのだが、日常の積み重ねの描写からなんとなく掴めるという具合。そういうところも「強い」小説ではない一例か?輪郭がはっきりしない曖昧な印象。よく言えば、余韻。
本書の余韻というか心地よさは評価したい。しかし、よくよく考えると本書はいったいどんな物語なのだろう。ネットの書評では純愛とか、本当の恋愛とかの言葉が並ぶが、どうなのだろう。

デビュー作「野ブタ。をプロデュース」は、人生で失敗したことを自らの力で修復しようとするのでなく、簡単に別の場所でやり直しを図ろうとする、お手軽なやり直しを前提としたいまどきの若者を描いていた。人生は「やり直し」ができるものというメッセージが悪いというのではないが、足掻くこともよしとせず、ただ新しい場所に逃げてやり直すことは「成長」とはいえず、後味が悪かった。
しかし、本書もいまどきの若者、草食系男子のやさしさを描くが、そのいっぽうで成長を描く。本書で書かれる草食系男子のやさしさとは、本当のやさしさなのだろうか。自分と言うものに自信を持てないがゆえに自分を出せない弱さであるのかもしれない。本書で主人公は幽霊の女性と出会い、あるいは友人の女性に指摘されることで、自分の主張しない「やさしさ」を見つめ、そのやさしさが本当のそれでないことを自覚する。そして、次の段階に「成長を予感」させる。ぼくはこの「成長」の一点をとり、本書を青春小説として前作より格段に評価したい。そのことは、最後に幽霊である女性を想うことで作品を終えるのでなく、友人との自転車の二人乗りという場面から始まる、新しい生活の予感にも現れていると思う。

それでは恋愛小説としてはどうなのだろう?ぼくは本書を、恋愛小説としては評価しない。それは、碕沢さんが「ひと」として書かれていないからだ。シチュエーションとしての孤独な状況にいる幽霊としての碕沢さんは書かれているが、その「ひと」は書かれていない。厳しく言えば、ただ若い女性(の幽霊)が傍にいたから気持ちが揺れたというだけに過ぎないように思える。それは幽霊の太もののなまめかしさにどきりとする様にも現れている。恋愛譚とするならば、もっと「ひと」が描かれる必要があったと思う。
とはいえ、それが悪いのではない。その存在が主人公の成長を促した。主人公に仄かに想いを寄せるように書かれる女友達の描写もあいまって、不思議な心地よさが演出された。それはやはり評価されてよいものであろう。

本書カバーの白地に鉛筆で描かれる佐藤真紀子のイラストのように、清廉とした潔さと心地よさを感じる作品であった。ただ、やはり作品に「強さ」はどうしても感じられない。そういうタイプの小説である。
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形式:単行本
故人に恋をするというユニークな小説です。
主人公の声しか音が聞こえないし、触れない(?)また、感知してもらえない。
しかも亡くなられたばかりで自分でも状況がよく分かっていないヒロイン。

そんな状態ではたとえ出会ったばかりの人だろうと頼ってしまうのは当然のこと。
でも迷惑をかけているのを意識した上でその状態をキープするのはとっても辛い。
主人公も非日常へのちょっとした興味でやや積極的に関わっていったり、途中でヒロインを面倒だと思ったり
嫉妬した自分を意識したり。
とっても自然な感じがして逆に面白い。

ジワジワくるタイプの小説。
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