1999年にTBSブリタニカから出た単行本の文庫化。
著者は硬めのノンフィクション作家。山の関係では、ほかに深田久弥についての著作がある。
本書は、昭和39年に岩木山で起きた高校生の遭難事件を扱ったもの。岩木山は季節を問わずに易しい山であり、およそ遭難事故などとは縁遠い山である。ところが、経験のない高校生が猛吹雪に襲われた結果、5人が遭難して、1人だけが生還するという事件が起こってしまったのである。
本書は、事件を詳細に追っていく。計画のずさんさ、参加メンバーの力量、遭難の過程、捜索隊の不備、家族の問題など。息詰まるような雰囲気で書かれており、一気に読んでしまった。
しかし、冷静に考えてみると、事件の構造や内容は単純で目新しいものではない。著者の気迫が読むべきポイントということになるのだろう。