温泉チャンピオン郡司勇氏の4冊目の著書がこの程出版された。
全カラー176頁の単行本で、伝統建築が素晴らしくお湯も良い「究極の温泉」が地方毎に紹介されている。
まず表紙の帯が素敵だ。
木造家屋すら珍し時代に育っている私が、美しい木造建築を見ると、妙な郷愁と感動を覚えるのが不思議である。日本人のDNAに組み込まれた何かなのだろう。
もちろん内容も良い。
今回の書著は郡司氏の本分である建築について多くを触れており新鮮だ。最終頁に建築用語解説が載っているので参考にしながら読むとよりイメージが膨らむ。
そして相変わらずの的確・簡潔な表現力は読んでいて本当に気持ちが良い。
すでに自分が知っている温泉は、いちいち納得してしまうし、未湯の温泉であれば、ますます入ってみたい気持ちにさせる。
温泉研究家郡司氏の本領とは、氏の鋭い五感もさることながらその表現力にあると思う。
数多の温泉評論家、レポーターが存在し書著を残しているが、温泉そのものを表現するなら郡司氏の右に出る者はないと断言できる。
そして常に温泉のことしか書かない(今回は+建築)という徹底した潔さだ。
実際に郡司氏が温泉に出かけて感動したり心ときめかせたりするのは、「建築」と「湯」が中心でありそれ以外の事には興味がないのであろう。
興味のない事をバッサリ切り捨てるというこの潔さ、誇張や世辞のない素直で淡々とした記述が、読後の気持ちよさを生むのだと思う。
サービスや料理を重視する人には、まったく面白くないようにも思うが、是非とも手に取って丁寧に読んでみてほしい。
伝統建築の良さとはどういうものか、温泉とはどういうものか、新しい世界が広がるチャンスになるかもしれない。
まさに温泉研究家 一級建築士の郡司氏ならではのおススメの一冊である。