企業の存在理由は「継続的に利益を生み出すこと」と言い切るのっけからして、この本はデザイン関係の本としては余りに「正直すぎ」る。デザインという言葉から、自由や夢といった世界を想像しがちな向きには、見事に出鼻を挫かれる。余りに功利的すぎやしないか?そんな苦情も言いたくなる。
しかし、著者は軸を全くぶれさせることなく、デザインが利益を生み出すメカニズムを、豊富な事例、挿話と簡潔な結論で執拗に提示して見せる。著者の論点は、徹頭徹尾、売れる商品とは何か、デザインがそこにどう影響力を行使しうるかという一点にあり、その説得力に引き込まれ読み進めていくうちに売れる商品の謎が剥されていく。
この本は経営者に向けられた本である。技術力はあるのにデザインを理解していないために稼ぎ損なっている会社、技術力がないため他社のヒット商品の外観を模倣して糊口を凌いでいる会社。どちらのタイプの会社の経営者にも平明でヒントに富んだ良著であり、読了後はそれまでと異なる視座が得られているに違いない。工業デザイナーや、それを目指す人にも自らのポジショニングを再確認するレファレンスポイントとして役立つはずだ。