お稲荷さんとして今でも親しまれ、比較的身近な存在であるにもかかわらず、何が起源で何が祭られているのか実は良く分からない稲荷信仰について書かれた本。オカルト関係の本で「狐憑きを御払いし、憑いていた狐を祀ったから沢山の稲荷の祠があるのだ」というのを以前読んでいたが、それまであった稲荷信仰に後の時代になって狐が習合したとの話を読み、狐憑きの起源でないことをこの本で知った。稲荷信仰に興味を持つきっかけは、エキセントリックな内容の『真言立川流―謎の邪教と鬼神ダキニ崇拝』を読んだことだが、この本はもっと学術的な内容で、稲荷信仰を考える上で非常に参考になると思う。荒俣宏によると伏見稲荷の神主さんでさえ「よく分からない」と答えているそうだが、身近な稲荷信仰を実はよく知らずにいることに気づき、興味を覚えて稲荷信仰や狐に関する民話に関係する本を読むようになった。元々は穀物(稲)を魔除けに使い、そこから稲荷(イナニ)の信仰が起こったとする著者の説は非常に興味深いもので、稲荷信仰についてもっと深く知りたいと思う。