税と社会保障について現制度の仕組み、著者の考える問題点、政策提言が述べられている。このテーマは我々の懐、将来の保障に直接かかわってくるテーマであるにもかかわらず、現在の仕組みやその前提となっている条件について本当に理解している人は自分も含めて少ないんじゃないかと思う。本書は一部専門的すぎるところはあるが、きちんと今の仕組みと問題点、政策オプションを理解するのに有益。
著者の主張で一貫しているのは、負担と受益の関係を明確にしていこうというもの。現在の仕組みは制度間での費用移転などで負担と受益の 関係が極めて見えにくいものとなっており、これを明確にすることが我々国民が政府へのガバナンスをきかせるためにも不可欠であり、著者の考え方には賛同する。具体的提案としては従来から著者の主張する歳入庁構想や国民背番号の導入などに加え、給付付税額控除が提案されている。著者の主張は増税や一部のグループの負担増ともなる「痛みを伴う」内容であり提案内容には賛否両論あろうが、議論の叩き台を提供してくれている。
著者が2008年に著した「年金制度は誰のものか」からの変化として、民主党政権の本テーマへの取り組みへのいら立ちと、自民党への叱咤激励を感じた。